
職人の手で作るジェラートは『Artisan Gelato(アルチザンジェラート)』と呼ばれ、人柄や個性が強く出るといいますが、様々なジェラートと出会うなかで、まさにその通りだと感じています。
作り手の経験や記憶が深く関係し、多様な背景を組み合わせたオムニバスがジェラートになるからだと考えています。
当店は、一つひとつをアナログな方法で作っていますが、様々な国を旅していた経験から、海外で得た要素を多く含んでいます。
それは素材という意味ではなく、ジェラートが完成するまでの手がかりや概念。
例えば、あの国で食べた料理の調理工程はジェラートにも代用できるはずだとか、この国ではこの食べ物を合わせていたので、こんな味にも合うかもしれないという発想。
何より、あの国の人達のようにどう物事を肯定的に解釈し、いかに現状を良い方向に変えるかという精神的な部分。
新しいフレーバーを考案するときや、大会等に出すような一風変わったフレーバー等も、多くはこういう観点から作っています。
また、神戸の桝本農園で働いた経験も大きく、手を抜かず、費用を惜しまず、常にベストを目指す事や素材はふんだんに使うという考えの多くは、この農園から得ています。
今まで出会った様々なものや人から受けた影響が強く含まれ、あらゆる断片的な経験や記憶をパズルのように組み立て、一つに具現化したものがジェラート。
当店には特定の師匠と呼べる人はいませんが、今まで国内外で出会った様々な人がそうであり、感謝すべき方々でもあります。
学生時代にイタリアでジェラートに出会った欧州縦断旅も、1年半以上に及ぶ世界一周旅行も、豪州や神戸の農園で働いた経験も、一見馬鹿げた無謀な行いのようですが、実際には全てに意味があったと考えています。
まだまだ勉強中の身ですが、今よりももっと良いものを作りたいという意識は常にあり、日々アップデートさせていきたいと強く思っています。