先日、開業前から計画していたジェラートの世界大会に参加するため、イタリアへ行ってきました。
そのことを忘れないうちに記録として残しておくため、このブログに書いておきたいと思います。
今回参加した大会は、毎年イタリアのリミニで、イタリアジェラート協会(SIGA)によって開催され、各地のジェラート職人が腕を競い合う、イタリアンジェラートの分野において権威ある大会です。
開業する何年も前、ジェラートを勉強し始めた頃から、目標の一つにしていたコンテストです。
そもそもジェラートの世界に足を踏み入れたのは、今から約15年前の学生時代にイタリアで食べたジェラートに魅了された事がきっかけでした。
当時の日本では、まだ一部の大都市を除いて、大半の人が「ジェラートって何?」という感じだったかと思うのですが、私もその一人でした。
「美味しいといっても、アイスはアイス。」
そんな気持ちで現地のジェラテリアを訪れ、ジェラートを食べましたが、あまりの美味しさに衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
滑らかな食感と口に広がる素材の味、全てに驚き、思わず「これは何?」と、店員に馬鹿な質問をしてしまいました。
そこからジェラートの虜になったわけですが、ジェラート店の開業を計画し始めた同時に、イタリアンジェラートの勉強を始めた頃、この国際ジェラートコンテストの存在を知りました。
いずれは、各地から腕利き職人らが参加するこの大会に挑戦したいという思いを持ちつつ、やっとの思いで当店を開業。
ちなみに「Gelato」はイタリア語で氷菓のことを意味します。
そして、私は開店前からイタリアンジェラートを勉強していました。
ですので、今まで私の中ではジェラートといえば、当然イタリアのもの(アイスクリーム)だと思っていました。
しかし、日本でジェラートといえば、イタリアンジェラートだけでなく、他のアイスや氷菓も混合され、様々なものがジェラートと表記、認識されているかと思います。
Gelatoの意味自体が氷菓なので、それは全く間違いではなく、各氷菓にそれぞれの良さがあり、どれも美味しいアイスです。
ただ甲乙関係なく、ジェラートという言葉の意味が同じだとしても、概念としては異なるものだと感じています(これは話せば長くなるのでまた別記事にて書きたいと思います)。
勉強し始めた頃は、イタリアからプロ用の専門書を取り寄せ、英語に翻訳してジェラートの理論とレシピを学び、家でジェラート作りを始め、国内でイタリア人マエストロや日本で活躍する職人の先輩方、様々な方々からジェラートを学びました。
しかし、その後はコロナ禍となったことで、計画していたイタリアジェラート修行は断念。
そのなかでの開業となりましたが、当店ではイタリア式でジェラートを作っています。
そこで「イタリアンジェラート」を名乗ろうと思ったとき、ふと何をもってイタリアンといえるのか、本当に名乗っていいのか、という疑問を持ちました。
例えば、今まで五十数か国を訪れた海外渡航経験のなかで、様々な日本食を食し、とても美味しいものから、素晴らしいフュージョン料理もあるなかで、日本食とはかけ離れているものがあったことも事実です。
その度、これが日本食だという認識が広がっていくのか…と何とも言えない複雑な気持ちになりました。
私は一人のジェラートファンとしてジェラートをリスペクトしており、そういった経験も含めて、本場イタリアの方々に同じような気持ちになってほしくないという思いがあります。
また、本場のジェラートに精通する人々が「これはイタリアンジェラートだ」と認めるまでは、イタリアンを名乗るべきではないような気がしていました。
そこで、イタリアンジェラートだと断言するためにはどうすればいいかと考えたとき、本場の大会に参戦し、イタリアで一流ジェラート職人やジェラート関係者の方々に認めて頂く事が一番の方法だと思いました。
自分が今まで学んできて、今作っているジェラートが本場イタリアでどれだけ通用するのかを確認したい。
それを確かめてから、イタリアンジェラートを名乗ろうと決めていました。
それが今回、本大会を目指した大きなきっかけの一つでもあります。